メロンさん⑪自然と抱きしめる
もう一度記載しておこう。
一回り近く歳の離れた28歳の女性。
中川翔子さん似の美少女で、ルックスだけでなくスタイルも抜群。
そんなメロンさんから「一緒にいると安心するな」そうつぶやかれる。
ずるいよね。
そんなの好きになるにきまってるじゃん。
完全に浮かれポンチ状態の私…。
メロンさんと付き合うということは、ピーチさんとは付き合わないということ。
そんな当たり前のことも忘れてしまっていたのだった。
カフェを出て、夕食のお店へと向かう私達。
メロンさんからのリクエストで、今日はしゃぶしゃぶだ。
私が予約したのはコストパフォーマンスが抜群の良店。
お肉の品質は折り紙付きも、
二人でお腹いっぱい食べても1万5千円もあれば十分である。
そのため普段からよく使わせてもらっているおススメの店だ。
メロンさんも気に入ってくれたようで、こんなお褒めの言葉を頂く。
「こういう庶民的なお店も、私好きですよー」
庶民的??
いや、たしかに高級料亭には程遠い。
遠いが…
この店は庶民的ではないのでは?
そんな普通の疑問を、なぜもっと考えなかったのだろう…
食事を終えると、時刻は既に22時半。
一軒に長居し過ぎて、お酒もだいぶ回ってしまった。
そろそろ退散しますか。そう伝えて店を出る。
駅に向かおうとすると、メロンさんは立ち止まったままだ。
一瞬の沈黙。
流れのままに。
そう、自然と私はメロンさんを抱きしめていたのだった。