続・メロンさん⑩突然の別れ
そもそも結婚する気などない。
そう明言するメロンさんとはっきり別れることも出来ず、ずるずると交際を続けていた私。
だって可愛いんだもん。
みっともないが、それが本音であった。
とはいえ。
いつまでもこのままってわけにもいかないよね。
そう思いながら、こっそり婚活を再開してやろうかしら。そんな不届きなことを考え始めた矢先のことである。
「やっぱり別れよう」
メロンさんからそう唐突に切り出される。
私の家で、時刻は午前5時くらいの話。
一戦交えて、ちょうどシャワーを浴びて戻ってきたところだった。
突然のことで固まってしまう私をよそに、メロンさんはこう続けたものだ。
「タカシさんは結婚したいんだもんね」
「私は、やっぱりしたくないんだ」
…
この時の、実に何ともいえない感情。
私の拙い語学力では表現するのが難しい。
焦燥と納得と葛藤。そんな様々な想いが交錯する。
「なんでそんなに結婚したくないの?」
そんな言葉を発するのが精一杯の私に対し、メロンさんはこう切り返してくる。
「タカシさんは何でそんなに結婚したいの?」
なぜ結婚したいか。改めてそう問われると、意外と答えに窮してしまう私であった。
これから先の人生を一人で過ごすよりも、大切な人と一緒に歩んでいきたいと思ったから。
というのは、果たして私の本心なのだろうか。
自分でもよく分からなくなってくる。
それでも。
もうこれ以上彼女と話すことは、たしかに何もなかった。
「そろそろ始発も出る頃だよね」
そう言ったメロンさんは、出て行く準備を始めてしまう。
そんな後ろ姿を、私はただ眺めることしか出来なかった…