メロンさん⑩恋は盲目
銀座でメロンさんと初めての食事を楽しんだ私。
無邪気に笑うメロンさんに、どんどん惹かれていくのを感じていた。
一日で十数回飛び交うLINEのやりとりも、全然苦痛ではない。
むしろ本当に楽しく幸せだった。
恋をすると人はアホになる。そういうことなのだろう。
すぐに約束の土曜日がやってくる。
メロンさんのリクエストで映画を見ることになったため、事前にネットでチケットも購入。
ご希望のしゃぶしゃぶは、私のよく行くお店を予約しておいた。
映画館からすぐ近くにあって、お肉の質も十分。コストパフォーマンスが非常に高いおススメの店である。
待ち合わせ時間を15分ほど過ぎたところでメロンさんが到着。
「早く行かなきゃ始まっちゃうよー」
そう言いながら、私の腕をとり館内に向かうメロンさん。
この時も高揚感の方が遥かにまさり、特に違和感を覚えなかったものだ。
しかし振り返ってみると、遅れる旨の連絡もなければ、お待たせの一言もない…。
女性は時間に遅れてくることが当たり前だと思っているので、待つのは全然平気。
でもなぁ。
なぜもっと早く、そんな風に考えなかったのだろう。
おっさんが恋をすると若い時以上にアホになるんだな…。
映画を見終えて、食事までの間少しお茶でもすることに。
他愛の無い会話をしている時間は本当に楽しい。
無邪気な笑顔に吸い込まれそうになっていると、メロンさんがつぶやくようにこう言ったのだった。
「タカシさんといると何だか安心するな」