リンゴさんとキスを交わしたその後も、私はしばしば札幌を訪れていた。
今回でパインさんと会うのも7回目か。
彼女と出会ってから早くも二か月ほどが経過している。
まだ手を繋ぐ程度の仲だったが、二人の距離は確実に縮まっていたように思う。
すでに恋人同士のような雰囲気。そう言っても過言ではなかった。
それが私にとって、何だかとても申し訳なく思えたものである。

（やっぱり私、リンゴさんのことが好きなんだな）

そんなことを改めて思い知らされることに。
そして。
千歳空港からリンゴさんにＬＩＮＥを送る。
「ちょっと話がしたいんだけど、週末に会えるかな」と。
迷いが全くなかったと言ったら嘘になるが、そこで彼女に自分の気持ちを伝えるつもりだった。

羽田空港に到着しスマホの電源を入れると、リンゴさんから返信が届いている。
「返事が遅くなってゴメンね」
「娘が熱を出しちゃって、病院に行ってきたところなんだ」
もちろん会えるけど、子供の具合次第でお出掛けは難しいかも。彼女のＬＩＮＥにはそう綴られていたものだ。

「お大事に。一緒に看病させてね」

そう返した私は。
その時改めて「父親になるのも悪くないな」そんな風に覚悟を決めたのかもしれない。
翌日の金曜日。
土曜まで待てずに仕事終わりでそのまま大阪に向かう。
パブの仕事を休み、娘を見ているリンゴさんを訪ねると。そのまま朝まで子供のそばに居る私達であった。
そして明け方近く。
私は彼女に告白したのである。

「二人のことを、私が幸せにしたい」
「だから私と付き合ってください」