続・メロンさん⑥家賃を払わない女
初めてメロンさんの住むマンションにお邪魔した私。
あまりに広く、綺麗な部屋で驚いたのだが。
「家賃は元彼に払ってもらってたんだ」
そう屈託なく話す彼女に、更に驚かされたものである。
なんだ、それ。愛人枠じゃないんだから…
そんなのは、これまで別世界の話だと思ってきた。
まさかこんな身近で聞くことになろうとは。
で、ようやく合点がいく。
そりゃ美味しいものばかり食べるはずだよね。
うん?じゃあ40万円くらいのバッグなんて、彼女にしたらむしろ遠慮した方だったのかしら。
多少混乱してしまい、そんなどうでもいいことを考えてしまう。
しかし、メロンさんは相変わらず私の様子を気にかけることもなく、「コーヒーでも入れるね」と楽しそうだ。
「えっと、その人とはもう別れたんだよね?」
つい、そんな声を掛けてしまう。
「もちろんだよ」と笑うメロンさん。
いや…家賃払ってもらってて、それから別れて、まだ払ってもらってるってこと?
そんな当たり前の疑問も合わせてつぶやいてしまう私であった。
「ううん、でも一年分まとめて払ってるらしいから、まだ大丈夫なんだ」
…
彼女のことが理解できない。改めて、そう思った。
いや、これからどうするつもりなの?
家賃を一年分まとめて払ってくれるほどの金持ちと、何不自由なく交際していたメロンさん。
あなたじゃココの家賃なんて払えないんじゃ…
まさか、次は私じゃないよね?
うーん。
完全に引いてしまう私。
というか、もう考えるのがめんどくさくなってきた…
そんな私を連れて、二人で夕食の買い物に行くことになったのだが。
着いたのは、いわゆる普通のスーパーとは違う雰囲気。
カートのカゴに次々と品物を入れていくメロンさんは実に楽しそうだ。
野菜に肉に、魚に調味料に。みるみる内にいっぱいになっていく。
で、お会計はもちろん私。
ですよね。
いや、外食する方が安いんじゃないか…
そう思えるほどに、スーパーでは見たことの無い値段が表示されるのであった。