4年ぶりに会ったブドウさん（30歳）とランチに行くことになった私。
良かったら子供も連れてきてよ、なんて事前に話をしていたのだが、さすがに大変なのか。
彼女一人だった。

うん、相変わらず可愛いな。
なんて呑気なことを考えながら馴染みのレストランに向かう。

「なんだ、子供に会えるのを楽しみにしてたのに」

そう水を向ける私。
母親に預けてきたんだそうで、残念ながら会えずじまい。

「今日はタカシさんとゆっくりお話したかったからね」

そう答えるブドウさんに対し「そりゃどうも」と適当に返す。
そこからしばらくは会社の近況報告で盛り上がることに。

ブドウさんが居た頃とは会社の様子もだいぶ変わった。
それでも共通の話題には事欠かず、すっかり楽しいランチを満喫する私達。
もう少し大丈夫だというので、場所を変えて少しお茶をしていると。
不意にブドウさんがこうつぶやくのであった。

「あーあ、タカシさんと結婚してれば良かったな」

はいはい。勝手に言ってなさい。
私はもちろん未経験だが、結婚生活なんて当然いろいろとあるんだろう。

「愚痴くらいならいつでも聞いてやるよ」

社交辞令。ほんの軽い気持ちでそう答えると、「ホントに！？」などと目を輝かせるブドウさん。
この時点ではまだまだそんな重たい話になるとは夢にも思っていなかった私。

浮気性という旦那の愚痴がとまらない。
ひとしきり話し終えると、最後にこう付け加えたのだった。

「もう愛情なんてないんだ」
「旦那とは別れようと思ってる」