メロンさん⑧銀座の串揚げ屋
メロンさんと週末に食事をする約束を交わす。
その後も、楽しいLINEのやりとりは続いていた。
おはようからおやすみまで。
ライオンのCMのように、メロンさんから度々届くLINE。
そんな頻繁なやりとりを正直好まない私であったが、この時ばかりはただただ嬉しくて舞い上がり続けていた。
「仕事終わったよー」
珍しく早めに帰宅しようと思っていた私に、そんなメッセージが届く。
「私もちょうど帰るところだよ」
そう返信したことをきっかけに、ご飯でも行こう♪となった。
徹夜も珍しくない私は、平日の夜に女性と食事に行くことなどほとんどない。
今日も正直疲れている。
一瞬そう思ったものの、メロンさんに会いたい気持ちが勝って快諾。
メロンさんの帰り道を考え、銀座で待ち合わせをすることにした。
この辺りのお店ならばそれなりに知っている。
特に予約などしなくとも何とかなるだろう。
そう考えて待ち合わせ場所に向かうと、程なくしてメロンさんが現れた。
うん、やっぱりめちゃくちゃ可愛いな。
「何が食べたい?」
そう聞いてみる私。
「何でもいいよ」そう返ってくることを予想していたが、意外とピンポイントな返答が。
「今日は串揚げの気分なんだ」
串揚げかぁ。
すぐにお店が思いつかない私に対し、おススメのお店があるからそこに行こうよというメロンさん。
これは本当に有難い。
女性と食事に行く際に一番面倒なのが、「何でもいい」と言いながら実は何でも良くないというパターンだ。
だったらコレが食べたい!とはっきり言ってくれた方がどれだけ楽か。
そんなことを考えながらホイホイと付いていくと。
ありゃ。
実に格式高そうなお店ではないですか。
この時はまだ、28歳でよくこんなお店知ってるなあと、少し感心した程度だったのだが。
今から思えば、既によくない兆候が見え隠れしていたのだった。