パインさん（26歳）と札幌にてお茶をする約束を交わした私。
リンゴさんとは少しの間連絡が取れずに心配していたのだが。ようやく電話にでた彼女と話すことが出来た。
「変な話に巻き込みたくないし、落ち着くまで連絡は取らないようにしたかったんだけど…」
そう申し訳なさそうにするリンゴさんに対し、あまり無責任なことも言えない。
それでも。

「一人の女性としてどう接するべきか、正直自分でもよく分かってないんだ」
「でも一人の知り合いとしてなら話は別かな。困った時に相談に乗るくらいは、私でもきっと出来るよ」

八方美人は人を傷つけるだけ。そんなことも分からない私。
たしかに間違っているかもしれないが、この時の私は自然とそんな台詞を口にしていたのだった。
結局、改めてリンゴさんに会いにいくことに。パインさんと約束をした当日、そのまま大阪へ向かう強行軍である。

なんだか仕事が出来るビジネスマンみたいだな。
そんな軽い気持ちで当日を迎えた私。
千歳空港に到着すると「エアポート快速」で札幌に向かい、早々に仕事を片付ける。
（博多と違って、札幌は空港から遠いんだよなぁ…）
パインさんと遠距離恋愛するなんてことになると、果たして体が持つのかしら。
そんな取らぬ狸の何とやらを考えながら、ずいぶん早く待ち合わせ場所に着いた私は。彼女とのこれまでのやりとりを改めて振り返っていた。
うん、やっぱり全然盛り上がっていない…

（まぁ何も考えずに会ってみるだけだね）

予定時間の少し前。
「着きました。ごゆっくり♪」そうメールを入れると、一人の女性が恐る恐る近づいてくる。
「あのう…タカシさんですか」
何だか怯えてすら見えるパインさんとの初対面を果たすと。
彼女は＜大沢あかねさん＞によく似た、小柄で可愛いらしい女性であった。
しかしご本人とは違って、かなり大人しい性格のようである…